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横浜で、英文契約のサポートをしている、かもめ行政書士法人です。

英文契約書の作成や、英文契約書のリーガルチェックなどを、全国様々な地域よりご依頼を頂いています。

今回、国内のアパレルブランド会社の方より、海外進出を行うことで、海外用の販売代理店契約の作成のご依頼に対応しましたので、販売店契約ポイントについて書きます。

海外の代理店では、”Agency”と”Distributorship”の2つに分かれる。

日本での代理店と海外でいう代理店では、法的に必ずしも内容が同じではないことに、注意することが大切です。

日本での「代理」では、海外では、”Agency”と”Distributorship”に分かれ、その違いは、商品の所有権が移転するか否かにあります。

“Agency”の場合は、所有権の移転がないのに対し、”Distributorship”は、所有権の移転があります。簡単にいえば、代理店が、アパレル商品を買取をするのかどうか、ということです。

弊法人でこれまで関わった「代理」における案件では、”Agency”が1割、”Distributorship”が9割を占めています。

英文契約書では、ビジネス文化が異なるので、細かく規定する。

今回、アパレルブランド会社の方が、弊法人に依頼した理由ですが、

「周りのアパレルブランド会社も海外に進出しているが、契約書を見ると、1, 2ページ程度がほとんどで、この程度の契約内容では、リスクが高いように感じた」ことがきっかけでした。

日本の契約書で、10ページにも渡るものはさほど見かけることはありませんが、海外の英文契約書では、10ページ以上になるものも珍しくありません

しかし、正式な英文契約書であれば、少なくとも5ページの分量程度は必要と言えます。

英文契約書の分量が多くなる理由は、リスクを想定し、リスクを避けるため、様々な条件を契約書に盛り込む傾向があるためです。

日本国内では、ビジネス文化、商習慣など共通認識が成り立つことが多く、契約書に大陸法を採用していたため、比較的短めの契約書になっています。

一方、海外の企業と契約する場合は、ビジネス文化、商習慣、法律も異なるため、きめ細かく規定をしておくごとが、解釈の相違を減らすことにつながります。

アパレルブランドにおける販売代理店契約のポイント

アパレルブランドにおいて、海外販売代理店と契約する際、販売地域の限定や取引条件の設定が重要です。海外販売代理店に対して、「独占的」販売代理店か、「非独占的」販売代理店なのかも、明確に決めることも大切です。

さらに、ブランドの知的財産権も契約に明記し、ブランドの模倣や不正使用を防ぐ対策も必要です。

日本では、「協議条項」にて、契約を結んだ後、トラブル・問題が生じた場合には、その都度誠実に協議することが一般的です。しかし、海外企業との契約では、トラブル・問題が生じる可能性を前提に、リスク対策を契約書に明記し、極力トラブルを未然に防ぐ取り組みが求められます。

多くの日本のアパレルブランドが海外展開を行ってきましたが、日本と海外マーケットのニーズの違いを理解し、海外の顧客にブランドを受け入れてもらえるには、大きな労力と時間が必要です。

海外の販売代理店と良好なパートナーシップ関係を築くことが、成功の鍵となります。そのためには、価値観の共有が重要です。契約を結ぶことも大事ですが、価値観の共有を念頭に置くことが、事業成功のポイントと言えるでしょう。

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