横浜で、英文契約書の作成やリーガルチェックを行っている、かもめ行政書士法人です。
今回、ゲーム音楽の制作をしているアーティストの方より、海外のゲームクリエイターと英文契約書を交わすため、英文契約書の作成の依頼を受けました。
昨今、「e-スポーツ」に見られるように、コンピューター・ゲームは、世界中に拡まっています。そこで、世界各地でゲームが次々制作され、併せてゲーム音楽も需要が高まっていると思われます。
今回は、ゲーム音楽に関わる英文契約について書きます。
ゲーム音楽における英文契約書について
ゲーム音楽における英文契約書というのは、比較的新しいジャンルと言えます。
大きく、ゲーム音楽に関する契約のパターンを考えますと、
- ゲーム制作側が、ゲームを制作するため、アーティストと契約を交わす。
- ゲーム制作側とアーティストとの間で、ゲーム音楽を打合せ、アーティスト側から契約書を用意する。
ことが想定されます。
確かに契約は口頭にても成り立つのですが、契約内容の意図や解釈が、それぞれの立場で異なることはままあることです。
そのため、書面でお互いの契約条件を確認した上、署名を行うことが大切になります。
実は、ゲーム制作側に立った契約書と、アーティスト側に立った契約書では、記載される内容が多少異なります。
「契約書のスタイルは堅苦しく、さらに英文契約書となると、どうすればよいのだろう。」と考える方もいらっしゃると思います。
まずは、契約書という枠に当てはめるのではなく、自分で「相手にも確認しておきたい条件」を思うまま、書き出しましょう。
必要であれば、弊行政書士法人にて、「相手にも確認しておきたい条件」をお伺いして、(英文)契約書の体裁にすることができます。
著作権・原盤権について
ゲーム音楽から音楽全般になりますが、「アーティスト活動に関する専属契約書」や「レコーディング契約書」など音楽における契約書を読んでも、様々な権利について書かれていて、一読して理解できた感覚にはなりにくい、と思います。
文化庁のサイトにも、著作権について扱ったページがございます。
権利の中でも、特に重要な著作権と原盤権について書きます。
実は、著作権と原盤権は異なります。
まず、著作権ですが、「広い意味での著作権」と「狭い意味での著作権」があります。
「広い意味での著作権」は、著作者人格権と著作財産権を合わせたもので、「狭い意味での著作権」は、著作財産権になります。
通常「著作権」と言われるのは、「狭い意味での著作権」を指すことが多いです。
一方、原盤権とは、原盤(マスター・テープ)を所有する権利のことで、日本の著作権法では、「著作隣接権」に含まれます。
レコード製作の中で、スタジオ使用料、エンジニア料、編曲料、プログラマー料など多額の費用がかかります。レコード会社がそれらの費用を負担する代わりに、原盤権を保有する考え方が一般的です。
この考え方は理解できますが、一方、アーティストの中にも、自身で楽曲制作していれば、原盤権が自身もあるのでは、という考えをする場合もあると思います。
結局のところ、原盤権の帰属は、契約書での記載によります。
クラウドファンディングにより、CD制作を行うことも増えていますが、事前に原盤権の所有者を定めて、ファンディングを募るとよいです。
アーティスト側に立った契約書は、英文契約でもまだ多くない。
弊法人では、マネジメント/ ゲーム制作の方から、またアーティストの方からとそれぞれ、英文契約書の作成のご依頼を頂いたことがあります。
海外の英文契約書の事例などを調べることがありますが、マネジメント/ ゲーム制作の方(会社)側に重きを置いた契約書の方が多いです。一方、アーティスト側に立った契約書も存在しますが、まださほど多くないのですが、アーティストの方が原盤権を保有するケースも増えているため、今後は増えていくと考えています。
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